第5章 人間の心(tks)のメモ
科学者は自信過剰と同時に極端に過激
懐疑主義だけど、一旦信じると突き進む
良くない面もあるが、この「思い込み」によって進歩してきた面は確実に存在する
=科学の進歩は思い込みによってもたらされている
しかし、認知科学はこの点を無視している
測定可能性や再現可能性ばかりに注目している
ハードアプローチばかり
人間の認知はもっと複雑
人間と機械は類似点より相似点の方が多い、だがそれがいい
能力を補完してくれるから
人間と機械が違うように人間と類人猿も違う
最も重要な相違点は人間には内省という思考能力があること
人間特有の知的能力
美術、ゲームやスポーツ、言語、音楽、儀式祭礼、風刺、教育、物語、美の理解
こうした能力には「心」が必要
心のパワーは表象形成能力にある
他者の視点に立つという能力
自分の心と他者の心に対する何らかの理論を持つ
人間の知をもたらす様々な要因
社会的インタラクション
教える
アーティファクトを作り、使う
人間の知の起源
心理学者のマーリン・ドナルドの主張
人間の知は進化を経て、人工の表現に強く依存する形になった
進化はクラッジを作り出す
進化:既存の構造に部分的な変更を加えながら進む
クラッジ:きちんとした構造がないのに動くもの
工学(科学的な方法)はクラッジを認めないが、進化はクラッジを作り出す
類人猿の能力を調べることで祖先についての証拠を得ようとする
※人間は類人猿から進化したものではない
仮定:人間の認知の発展には4つの進化段階があった
1. エピソード記憶
2. ミメーシス(演技)
単なる真似とは異なる
真似は他者の行動を繰り返すだけ
他者への情報伝達を意図する
行為を通して意図の伝達をする
3. 神話
tks.icon集団が意図を共有する
4. 外部にある表現
外部の装置を創り出す
tks.icon生物の範囲を超える
表現
内部表象を操作する
社会的インタラクションに関する能力が最も高いのが人間
次に類人猿とクジラ類
意図があるかどうかで生物学的協調行動と認知的協調行動は区別される
演技は意図を伝えるコミュニケーションツール
言語がさらに強力なツール
人間は複雑なプランニングが可能
これは動物にはできない
人間は外部構造を使うことで拡張できる表現能力を持つ
tks.icon言いたいことは共通しているぞって話
︎︎人間の認知(p221)
人間は体験モードを好む
パターンで理解する
熟達者はこれ
危険でもある
滅多に起きない出来事だとしてもパターンに当てはめてしまう
滅多に起きない出来事は滅多に起きない出来事なのに
エラーの原因になるし、エラーの発見も難しくする
→トンネルビジョンの節で触れられる
人間は意思決定や問題解決においてアナロジーを用いる
アナロジーとは、現在の状況を以前の何らかの体験と比べること
記憶の中で利用可能なもの
記憶内で利用可能なのは①最近の出来事、か、②個別性が強く感情を喚起させる出来事
=最近のこと、幸運な例、大きな災難
≠日常的なこと、すべて順調
記憶内で利用可能なものが「最近」の「個別性が強く感情を喚起させる」出来事だとしたら?
→次の節で説明する
⚫︎物語の力(223)
重要な意思決定は、事実に基づき、論理的に、理知的に決定されるのではなく、いくつかの物語によってされる
物語について
より詳細な吟味に耐えうる物語には、思わず引き込まれてしまう何かがある
経験をまとめ上げ、出来事だけでなく不可欠な周囲の文脈をも捉えてくれる驚異の手段
情報と知識と文脈、そして感情をひとつパッケージに包み込む、認知のための重要なイベント
一方で、論理
人間の思考を研究する科学者は論理を好むし、論理に従うべきだと考えがち
論理とは
人工的なもの=自然発生的でない
論理には強力な推論手段がある
物語と論理のどちらが優れているという話ではない
両者は別物
⚫︎エラー(227)
エラーは2つに分類できる
①スリップ
意図しなかった行為を実行したこと
コーヒーの中に塩を入れた
②ミステイク
意図そのものが間違っている行為を実行すること
スリップより重大になることが多い
人はエラーを起こすが、エラーを起こすようにデザインしているとしか思えないような状況もある
⚫︎トンネルビジョン(229)
喘息の発作と薬の飲み違い
判断を誤ったとき間違いが正せない
認知的ヒステリシス
機能的固着性
認知的狭窄
トンネルビジョン
ひとたび注意をあることに向けると、矛盾する証拠を見せられても、それを変更することが困難になってしまう
→重大な事故は単純なヒューマンエラーで起こるのではない
誤って診断することが原因
ヒューマンエラーであれば間違いに気づく
誤った診断は「診断」なので事実を説明したものになる
→新たな情報があっても、最初の判断を捨てられない
航空機の例
トンネルビジョンの罠に陥らないためには?
部外者を入れる
仲間内だと難しい
同じようにトンネルビジョンの罠に陥る可能性がある
トラブルメーカーとみなされる
tks.iconイレギュラーな存在が必要
機械は威圧的でない方法で行動をチェックしアドバイスをしてくれる
われわれに必要なのは、過去の統計や事例が対話的に使える豊富なデータベースをもち、それを意思決定の際に自動的に利用させてくれる機会である
tks.icon生成AIだ
なぜエラーを犯すのか?
人間に合わない機械中心のタスクを強要するから
細部の記憶が必要にする
変化が乏しい状況で長時間の注意が必要にする
よく似たボタンや表示を並べて間違いを起こさせようとする
人間中心の作法
エラーを最小に、エラーの影響を最小に、エラーに気づく状況を用意するようにテクノロジーをデザインする